■優しさ■
[NO genre]





「怖いなあ。あの人。」





隣の席にいたあの人。

その子はいつも悪口ばっかり言っていた。

あの子は僕の逆隣の人と一緒に悪口の話をしていた。

つまり、両隣が悪口を言っていて、そこに僕がはさまれていたんだ。

二人とも、授業中でも悪口を言っていて。

先生のことでも、本人が目の前にいてもおかまいなし。

僕は怖かった。

どうして、あんなに悪口がいえるんだろうって。





だから、下校のときに友達に言ってしまったんだ。

「怖いなあ。あの人。」





時はたって、その人と離れ離れになった。

そして、気づいたんだ。

あの人は、いつも悪口を言っているけど、困った人がいたら、すぐに助けて。

迷いもせず、助けて。

僕もどれだけ助けられたんだろう?





それなのに、僕は言ってしまったんだ。

「怖いなあ。あの人。」

離れ離れになって、気づいたんだ。

なのに、遅くて。

遅すぎて。

本当に、ゴメン。





君は「優しいね。」って言ったけど

僕は優しくなんかないんです。

ただ、臆病なんです。

だから、会ったら何ができるかわからない。

会うことなんてないのかもしれない。

でも、会ったら言いたいんだ。

言いたいことがたくさんあるから。
tk
2008年07月18日(金) 15時47分44秒 公開
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