■『少女と死神。』 3■ | [小説] |
誰か。 誰か。 誰か。 わらわを、見て下され──────────────────・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「あ、気が付いた?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 またなんですか? どうしてなんですか? 何であなたがここにいるんですか? しつこいんですけどっっっっっ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 言いたいことがたくさん思いついたけど。 口から滑り出たのは至ってありきたりな言葉。 「・・・・・・・・・ここ、どこ?」 だってあたりは真っ暗だし。 私といつもの死神さんしかいない。 天井もなければ床もない、ましてや壁すらなかった。 「ここ?」 彼はうっすらと微笑んで(いつものように嫌味なほどの美しい貌で)、答えた。 「ここはね、体から離れた魂が霊界に行く前に一度運び込まれる場所さ」 「ふ〜ん・・・・・」 って。 「は?!」 「あっ、いいね、その反応。期待通りだよ」 「それはどうも。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃなくて!!」 あ─────────っ、もう!! こいつといると話が脱線する!!(漫才みたいだし!!!!!!) なんか、ペースを奪われてるっていうか・・・。 「ここは異空間。異次元でもいい、他の世界の何処とも繋がっていない世界」 「・・・・・・・・・繋がって、ない?」 「そう。この世界には5つの世界があるんだ。 君がいた人間界、霊界、天界、魔界、そして僕ら死神がいる冥界だ。 その何処とも繋がってない空間が、此処さ。異空間、異次元、呼び方はいろいろあるだろうね」 「・・・・・・・・・それで?どうして私はここにいるの?」 「理由は一つしかないと思わないかい?」 理由。 そうだ、その理由は、1つだけ・・・・・・。 「まさか」 「そう、そのまさかだよ。君は死んだんだ」 なんて事はない、という貌で死神は言う。 どんなときでも笑みを絶やさないのがこの死神だ。 おかげで、何を考えているのか全く読めない。 彼は、私の心を読めるというのに。 「不公平じゃん!!!!!!!!」 「・・・君という人間は不可解だねぇ。 自分だけが死んだことに不公平だと叫ばないで、僕が君の心を読めて君は読めないと言うことに腹を立てるのか」 「・・・・・・・・・・・・・え?私だけ、死んだ?」 「そうだよ。・・・ああ、死んだときのことは記憶から抹消されるんだっけ?」 え? え? 私、どうやって死んだっけ?? 思い浮かぶのは。 友達の悲鳴と。 公園と。 電灯と。 流れる血と。 青ざめた顔と。 赫い、口。 「・・・・・・・・・・・・・えっと」 「知りたいかい?」 死神は、微笑う。 その綺麗な貌で、身の毛のよだつほどの冷笑。 こっくりと、頷く。 「勿論」 「本当に君は不可解だよ。 ・・・・・また所長に怒られちゃうなぁ・・・・・。ま、いいか。いつものことだし」 何とも楽天的な死神である。 「君にその気があるならね。 霊界で魂の裁判を受けるまではまだ時間があるし・・・。見たいかい?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・うん」 「そうか」 死神はそう呟くと、その手に光る鎌を一閃させた。 光の閃光が、闇を切り裂く。 見えたのは、私の死の瞬間。 |
桜華
2003年09月27日(土) 18時04分33秒 公開 この作品の著作権は桜華さんにあり無断転載は禁止です |
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sQbvBcmQNulo | jrwhvkunk | 2010-10-15 20:05:04 | |
なんで死んだのか気になります!文中に出てくる漫才という表現が的を得てて笑いました。名前・・センスないんで私は(すみません)名前なくても今のところ問題ないカンジですよ(笑 | まりの(管理人) | 2003-09-28 00:51:29 |