■空想の夢と現実(最終章)■
[小説]
「―――――そうリロはその完成品だよ」
あの男はそう言った。
「わ・・・私が?その・・・完成・・・・・ひん」
「そう、だからずっと探していたお前を」
「リロが!?そんなはずない」
「ユキノ・・・・だっけ?」
リロがピクッと動いた。
「そのユキノって男の正体教えてあげようか?」
「ユキノさんの?」
リロはまじめそうに聴いた。
「彼の名はユキノ・ジュリアル、そう、さっき話に出てきた、
 王女と一緒に逃げた、その男だ」
「ユキ・・ノさんが?」
「そうだ、だからお前を見てレイズ・アレイン、
 つまりその王女の名前を一文字抜いて、“レイ”をリロにつけたんだよ」
「そういえば・・・、ユキノさん言ってた、君によく似た少女がいたって」
「だからって、それがリロだとは!」
俺は焦った。
「これでおわかりになりましたか?」
「・・・私はどうしてここに来たの?」
「・・・・脱走したんだよ、君が」
「わ・・・私が?」
「君は知りすぎた、だから記憶を消した」
「消した・・・・?」
俺は何がなんだかわからなくなってしまった。
「そう、消してやったんだ、この俺が」
「!!、だから私に記憶がなかったのね」
「早くリロに記憶をかえしやがれっ」
俺はそいつに殴りかかろうとした。
「やめて、トーヤ」
リロの一声で俺はやめた
「わかりました、だけど、もう少し時間をください」
「西でお待ちしております。必ず来てくださいねレイズ・アレイン様」
「・・・・・・・・・・・トーヤ来て」
あいつを無視したかのように通り過ぎたリロは俺にこういった。
「・・・・・私は、自分の記憶を取り戻したいわ」
「あぁ、どこまでもついていくよ、リロ」
「ありがとう、でもトーヤはのこって・・・・・」
「何でだ!?何で俺だけ・・・・」
「トーヤをまきこみたくないし、それにトーヤはここの住人じゃない」
「それじゃあリロだってそうだろう?リロはちゃんとした“ヒト”なんだ」
「だけど、私絶対におかしいもの!
 みんな私をおいて死んでしまう!だけど私は、もうずっと待ち続けているのに
 何で私は死なないの? そう考えるとおかしいじゃない」
――――そう、確かにおかしい。
この世界の住人じゃないリロが何で今まで生きてこられたか不思議だ。
「・・・・それはっ」
何でもいい、何かリロに言ってあげれれば
「明日、私はウサットさんの所に行く、だからトーヤはこの世界から出て」
「・・・・出れるのか?」
「わからないけど、言ったでしょ?ここではトーヤが主人公だって
 だからきっと大丈夫」
「主人公・・・・・・だったらいける!」
リロは首をかしげた。



「遅い」
あの男はいった。
「リロ達何してるのかなぁー? まぁ、いつでも待ちますっていういい方したの
 俺だけどさぁ・・・・・・」
風のざわめき
木の葉が舞い下りる
そして黒い影・・・・。
「ウサットさぁ―――――――――ん」
あの男は上を見上げた。
「あのねぇー、やっぱり私行かないことにしたの」
遠くからの声、そう俺達は、あの大鳥、ユキに乗ってたのだから・・・・・
「トーヤ、これは反則だぞ」
俺はにっこりと笑って言った。
「ここでは俺が主人公、物語を作るのも俺だ!お前じゃねぇ」
「だから、私達は自分達の力で、私の記憶とここを出る方法を探しまーす」
あの男は上を見えげたままこういった。
「・・・わかったよ、好きにすればいい
 だけど今度会った時は絶対にリロを連れていくからな」
「俺達はつかまらないよ!」
「ウサットさん、ゴメンね、
 でもこれだけは聴いて、私はそのレイズさんじゃないの」
リロはそう、あの男に別れをつげた。
あの男はボーッと俺達を見ていた。



「トーヤ、私のせいでゴメンね」
「気にしちゃいねえ、だって、今度からは二人の力で頑張るって決めたんだから」
「う・・・・うん、ありがとうトーヤ」

ここからが本番。
俺達の物語はまだまだ続く・・・・・
例えあの男につかまろうが、逃げて、逃げて、逃げまくってやる
だから、一緒に頑張ろうな、リロ

『そう、これはほんの小さな物語。
空想の夢と現実』
夏樹
2003年09月26日(金) 17時31分24秒 公開
この作品の著作権は夏樹さんにあり無断転載は禁止です
■作者からのメッセージ
はぁー、やっと終わりました。
皆様お疲れ様です。
長い間ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。

この作品の感想をお寄せください。
私も想像できてませんでした(笑)話が進んでいくうちに最初の設定はどこにいったんだろう?と思っていたのですが、最後の最後に繋がってたのですね。納得です。 まりの(管理人) 2003-09-27 00:15:16
全く予想していないオチでした(笑)あ〜成る程、と今感心してます。執筆お疲れ様でした。次回作も楽しみにしていますので!! 桜華 2003-09-26 17:38:47
お名前(必須) E-Mail(任意)
メッセージ


<<戻る
感想記事削除PASSWORD
PASSWORD 編集 削除